Withコロナ、Afterコロナ時代を見据えた
今、飲食業界では「ゴーストレストラン」が大きな注目を集めています。ゴーストレストランとは、客席を持たないデリバリー専門の飲食店のこと。スマートフォンのアプリなどで注文を受け、厨房のみの店舗で作った料理を、Uber Eatsや出前館のようなデリバリーサービスでお客様の指定場所まで届けます。
ゴーストレストランは、アメリカや韓国で広く普及しており、韓国では飲食業全体の売上の1割を占めるといわれます。日本ではまだ1%あるかどうかで、今後の成長が高く期待されています。
コロナ禍以前からUber Eatsは存在しましたが、従来型の客席を持つ飲食店舗のデリバリーサービスはそれほど注目されていませんでした。2020年春以降、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、売上が激減した飲食店の参入が相次ぎ、デリバリーサービスを行うようになったのです。
GRC株式会社 代表取締役 鈴木雅之
大手居酒屋チェーンが、デリバリー専門のから揚げ店をフランチャイズ化して、一気に店舗を拡大した事例もありました。揚げ物は、フライヤーさえあればすぐに業態として展開できるため、コロナ禍で空いた厨房を使ったり、設備を追加してサービスを開始する例が多く見られます。
Afterコロナ時代に備える飲食業
こうした実店舗によるデリバリーサービスは、新型コロナウイルスの収束が見えはじめ、来店客が戻るようになると、一部は事業を取り止めていくでしょう。リアル店舗にお客様が来るようになれば、その接客に重点が移り、売上が回復すれば、デリバリーを続ける意義は薄れます。その結果リアル店舗を運営する飲食店では、コロナ対策として行っていたデリバリー事業の一部は減少すると見ています。
一方で、コロナ収束後においても元に戻らないのがユーザーの行動です。彼らはコロナ禍で初めてデリバリーサービスを利用し、使い勝手がよく、便利であることを経験してしまいました。こうした変化は不可逆的です。今後はユーザー間で、リアル店舗とデリバリーサービスの使い分けが進んでいくでしょう。
会食やお祝いのような、食事だけでなく、集まることそれ自体が目的である場合は、リアル店舗の利用が回復すると考えられますが、自宅でテレワーク中に、手軽に美味しいものが食べたい場合は、デリバリーサービスが選択肢に挙げられるはずです。
とりわけ、自宅まで届けてもらえることの利便性に気付いた若い世代のニーズは強く、それらの世代を中心にデリバリーサービスの需要はますます拡大すると予想されます。そうしたwithコロナ、Afterコロナ時代の生活者ニーズの多様化に応える飲食業が、客席を持たないゴーストレストランなのです。
GRC株式会社が展開するゴーストレストラン事業
私たちGRC株式会社はゴーストレストラン運営会社を前身として、早い段階からゴーストレストランに関するノウハウを蓄積してきました。その経験と実績を基に、「ブランディング」「マッチング」「コンサルティング」の3つを複合的に提案し、ゴーストレストラン事業を進めています。
ブランディング
多数のブランドを提供、共同開発で拡充目指す
例えば夕食にデリバリーサービスを利用するとして、朝のうちから予約する人は少数です。多くの場合は、実際に食事をする数十分前に料理を選び、注文します。注文時間もバラバラです。10時に昼食を摂る人もいれば、15時に摂りたい人もいるのです。
つまり、ゴーストレストランにはスピーディーに美味しい料理をいつでも提供できるノウハウが欠かせません。調理時間をできるだけ短く、アルバイトでも安定したクオリティで調理できるレシピの開発など、ゴーストレストランだからこそ必要なノウハウは少なくないのです。
GRC株式会社では大手食品メーカーや手製麺所、有名専門店などとも連携し、食材や商品開発を進め、ゴーストレストラン運営にマッチする新しいブランド作りにもチャレンジしています。
現在、私たち自身が提供しているのはスープ、ホットサンド、うどん、韓国料理、丼物など約20ブランドに上り、1年以内には100ブランドまで拡大する予定です。自社開発だけではなく、食品メーカーや有名飲食店とのコラボレーションも強化しています。こうしたコラボレーションが実現すれば、飲食店にとっても商機の拡大となり、Win-Winの関係が築けるはずです。
マッチング
不動産オーナー、個人投資家、業態転換に最適
長引くコロナ禍の影響で、ビルや商店街のあちらこちらで空き店舗が目立つようになりました。駅から至近のいわゆる好立地の物件でも、借り手は少なく、少し離れた場所だとずっと空いたままということも少なくありません。その結果、多くの不動産オーナーが家賃収入を得られず、苦しい状況に直面しています。
ゴーストレストランは、住宅街が近い方が事業として成り立ちやすいため、駅から離れた物件でも誘致可能で、むしろ好都合の場合もあります。また、高架下のような飲食店には不向きと思われる場所であっても問題ありません。
渋谷の高架下では飲食テナント撤退後のリーシングに苦労していた区画を、GRC株式会社が居抜きで借り上げ実際に大きな成果を出しています。従来なら条件の悪いとされた不動産物件でも、ゴーストレストランなら十分にビジネスが成立し、採算が見込める可能性があるのです。
また、個人投資家が、手持ち資金を事業に投資して収益を得たい場合にも最適でしょう。GRC株式会社では、100万円プラス2~3カ月の運転資金で開業し、10%の粗利が確保できるビジネスモデルの提供を目指しています。従業員の採用や、レシピの作成、許認可取得なども代行しますので、飲食業が全くの未経験でも投資が可能です。
例えば前述の渋谷のゴーストレストランの場合、開業関連の初期投資はわずか約100万円です。ビジネスが軌道に乗るまで3カ月程度の時間が必要ですが、その後は安定した収益を生んでいます。
このようにノウハウ次第では、少額の投資でビジネスを成功させられる点がゴーストレストラン事業の大きな魅力でしょう。現在は、既存店からの業態転換や、他業種からの新規参入もする際に、経済産業省の事業再構築補助金を活用できます。純投資としても、既存飲食店からの業態転換や、新規事業としても、ゴーストレストランは魅力的なのです。
コンサルティング
企画・設計から施工管理、運営までをフルサポート
今、日本にはゴーストレストランの運営経験者はほとんどいません。GRC株式会社はゴーストレストランの運営経験を持つメンバーが経営に携わっており、それらのノウハウを基に、ゴーストレストランの企画・設計から、施工管理、出店者誘致、開業後の管理、出店者の運営サポートまでコンサルティングを行っています。
「飲食店は1年で3割が潰れ、2年で半分が潰れる」と言われるほど、競争が厳しい市場です。飲食店オーナーは売上を確保できるかどうか、成功するかどうか見通しが立たない中で、多額の初期投資をして出店します。
それに対して、ゴーストレストランは客席をつくる必要がなく、内装も不要です。面積も10坪程度で十分なので、初期投資を抑えた低リスク出店が可能です。内装が簡素ですから原状回復も容易で、厨房機器は中古流通市場が整備されているため容易に売却できます。ゴーストレストランは出店者にとっても、不動産オーナーにとってもメリットのある仕組みなのです。